文化年間の江戸。女手ひとつで貸本屋を営み、高荷を背負って江戸の町を巡るおせん。板木盗難や幽霊騒ぎ、幻の書物探しなど読本に係わる事件に立ち向かう、異色の「ビブリオ捕物帳」――「貸本屋おせん」シリーズ。
デビュー時から話題沸騰、いま歴史時代作家業界で最注目の著者による本書が、ついに文庫化、発売即重版となりました! さらにシリーズ2作目となる『往来絵巻 貸本屋おせん』も5月14日に発売です。
2冊の刊行を記念して、著者の高瀬乃一さんにデビューからの環境の変化、執筆秘話などなど、お話を聞きました。
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――1作目『貸本屋おせん』から早2年。この2年で、『無間の鐘』(講談社)、『春のとなり』(角川春樹事務所)や、山本周五郎賞の候補となった『梅の実るまで 茅野淳之介幕末日乗』(新潮社)を刊行されました。ずいぶん環境にも変化があったと思うのですが、生活の中で一番変わったことは何ですか?
高瀬 パートを辞めて執筆のみが仕事になりました。そのため人と話す機会が減り、家での独り言が多くなりました。そして、確実に運動不足で太りました。
――『往来絵巻 貸本屋おせん』を含めると、2年間で5冊刊行というのは新人作家にはあるまじきスピード感です。1日の執筆スケジュールや、ルーティーンワークがあれば、教えてください。
高瀬 朝は6時少し前に起床して、朝食や家族の弁当を作ります。洗濯や買い物など適度に家事をしました感を出し、お昼まで執筆。だらだらと昼食をとり、がっつり昼寝をします。2時間ほど寝呆けて、慌てて洗濯ものを片付け(冬ならば雪かきなどがあります)、ゲラの確認、資料の整理など。夕飯の支度をしながらネット配信や録画したドラマを観て、夕飯のあとですこしだけ執筆です。午後の10時にはパソコンの電源を落とすようにしています(夜更かしすると数日体の調子が悪くなるお年頃なので……)。就寝前にネットニュースなどを見て、本を読みながら寝落ちします。
名古屋出身のため、根っからのコーヒー党です。いまはコーヒーの飲みすぎをさけるために、ハーブのお茶などをいろいろためしています。