IT技術が実現した「つながりすぎる」ことがもたらす悩みやストレスは、大きく二つに分けられると思います。
一つ目はX(旧ツイッター)やインスタグラム、フェイスブック、LINE、YouTubeなど、SNSの普及によるものです。SNSでの評価や感想、人間関係が気になるあまり、多くの人がそれから離れることができず、依存するようになった。
もう一つは企業や組織でDX化が進み、スマホで常時利用できるスラックなどの報告・連絡・相談ツールが導入されたことによるものです。いつでもどこでも連絡が取れるようになり、即時応答性が求められるようになったため、そのことにストレスを感じる人が増えてきました。
今回のような特集が組まれたのは、後者によるストレスを軽減するにはどうしたらいいのかを読者が求めていると考えてのことでしょう。
そこで常時接続と即時応答性を軽減するための方法をここで提言することもできますが、その問題は企業や組織が内部で話し合い、労使双方が納得のいくルールを作っていけば、解決できるはずです。
そこで、ここではIT技術が私たちから奪ったものが何なのかを見極め、それを取り戻すための方法を考えてみようと思います。

SNSが普及し始めたのは、だいたい2010年前後からです。そこから10年ほどは、人間がSNSを使うと、何が起きるのかを実験していたような時期でした。利用者は「いいね」がいくつ得られるかに一喜一憂し、日々ヴァーチャルな空間内での人間関係に思い悩み、心身を擦り減らすことになりました。SNSへの「つながりすぎ」がまさに「問題」だと考えられていた時期です。その時代には接続過剰から適度な距離を取って「孤独」になろう、と提唱することが批評的な意味を持っていました。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2025年7月号