「もう別次元の快楽だった」中3で味わった覚醒剤の魔力

 美奈子にしてみれば、守は心強いパートナーだっただろう。彼女は守のマンションで暮らしながら、悠々自適に覚醒剤を楽しむ日々を過ごしていた。一恵が大きくなっていたためか、覚醒剤を打つのを隠そうともしなくなっていた。

 週末になると、美奈子は一恵を地元の友達との飲み会へ連れて行った。店にいたのは、大概住吉会の構成員か、覚醒剤関係の仲間だった。

母たちの飲み会で誘われた一恵は「待ってました」と覚醒剤に手を染めたという ©maroke/イメージマート

 一恵にとって覚醒剤も暴力団も日常だったので、恐怖感はなく、むしろ大人になったような気分で楽しかった。一恵が初めて覚醒剤の味を知ったのもこの頃だ。次のように述べる。

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「お母さんがクスリをやっておかしくなっているのをずっと見てきたでしょ。こういう家の子供って、クスリを嫌いになるか、興味を持って好きになるかどっちかなんだ。私はやっちゃう方だった。お母さんがあんなに気持ち良さそうにしているなら、どんなにいいんだろうって考えてて、やる機会をうかがってたの。

 中学3年のある日、地元の先輩と遊んでいたら、いきなり『一恵もやってみる?』って誘われた。私にしてみれば、待ってましたーって感じで、その場でアブリ(火であぶって煙を吸う)でやってみた。気持ち良いの何のって、もう別次元の快楽だったね。それからドハマりしちゃって、1カ月後にはポンプを打つようになった」