東宮御所として誕生し、いまや海外からの賓客をもてなす接遇の場である迎賓館。日本では他にないネオ・バロック様式の宮殿であり、東京23区内で唯一の国宝建築だ。2018年から追うフォトグラファー大河内禎氏が、その内部を特別に公開する。

夜のライトアップで、壮麗な姿が浮かび上がる迎賓館。明治42(1909)年、鹿鳴館などに携わった名建築家ジョサイア・コンドルの弟子、片山東熊により設計された
“国宝” の意味を肌で感じられる
人の気配を感じる──。カメラを向けるたびに、大河内氏はそう思わずにはいられないという。外観はもちろん、内部は豪華絢爛を極め、天井画や室内装飾、絨毯に至るまで、宮殿は一分の隙も無いほどの美しさで埋め尽くされている。「各分野の優れた職人が技術の粋を集めて完成させました。いまも多くの専門家によって維持されている。その情熱を肌身に感じます」と氏は語る。
当初は西洋に追いつけと始まった建築プロジェクトだが、随所に和の要素が盛り込まれた。「たとえば花鳥の間には、七宝焼を優美なレリーフに嵌め込んだ名作があります。和と洋の見事な融合は、まさにメイド・イン・ジャパン、日本人に造れないものはありません。国宝にふさわしい場です」。

「羽衣の間」にはフランスの名器、エラール・ピアノが置かれる。昭和天皇の后、香淳皇后が新婚時代に演奏され、愛用された

広さ約200平方メートルに及ぶ「朝日の間」は、サロンとして表敬訪問や首脳会談も行われる場所。迎賓館で最も格式の高い部屋

改修後の迎賓館を2010年、平成の天皇ご一家が見学された
ⒸJiji
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