「こんなステージング、日本ではなかなか見られないよね」

　2025年2月3日、米グラミー賞授賞式。舞台上で繰り広げられる超一流アーティストのステージパフォーマンスを目の当たりにし、Mrs. GREEN APPLE（ミセスグリーンアップル、以下ミセス）の大森元貴さんがそう呟きました。

　ビルボードジャパンの2024年アーティスト・チャートでトップに輝くなど、ミセスのメンバーの元貴さん、若井滉斗さん、藤澤涼架さんの3人は昨年、日本で最も楽曲が聴かれたアーティストとなりました。彼らに世界最高の音楽賞の舞台を見せてあげたい。そう考えて、授賞式に連れていったのです。

　グラミー賞の時期にユニバーサルミュージック グループの各国のトップが集まる会議があり、2014年に社長に就いてからは毎年参加しています。会場にはテイラー・スウィフトやレディー・ガガ、ブルーノ・マーズが間近にいて、世界の音楽会社のトップも勢揃いする。錚々たる面々の前で披露される演奏も、豪華な場に相応しいものばかりです。

　私は常々、具体的にイメージできない夢は実現できないと考えています。たとえば、「世界を目指す」という抽象的な目標では、達成までの道程を描くことは難しい。世界の中でも、アメリカか、韓国か、中国なのか、国によって戦略は違ってきます。さらに「アメリカで成功したい」と言っても、約3億4000万人が住み、全50州ある国で、どの地域の、どの層を狙うのか。具体的に言語化していくことが必要です。

　ミセスは日本でトップに立ち、次のステージが近づいてきた。そこで実際に最高峰の舞台を生で見て、体感して欲しかった。テレビ画面で見ているのとは、やはり違う。自分たちが壇上に立てるのか、立てたらどんなステージングをしたいのか、それを現地で感じてほしかった。

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