「おそらく、何らかの障がいがあるのでは……」。中学時代、担任の教師のすすめで「障がい」の有無を確認するテストを受けさせられた、札幌のギャグ男さん(28)。テストで家の絵を描いたり、数字を数えるうちに、大人たちの顔色がみるみる変わっていく。テスト終了後、彼に突きつけられた「驚きの結果」とは? 新刊『普通じゃない:知能が小3で止まったぼくがラッパーをやっているわけ』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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ひょうきん者の中学生
地獄の小学校時代を耐え抜いて、俺は中学生になった。
周りと同じように、地元の公立校に進んだんだ。この頃の俺は、いじめられっ子から抜け出して「クラスのひょうきん者」みたいなポジションに収まっていた。地獄の時代から比べたら、大した出世だ。お笑い番組と、新庄のおかげだな。
中学に入ってすぐの頃は、ほんと楽しかったな。
いろんな小学校から、知らないヤツがたくさん来てさ。まったく新しい環境で、新しい友だちがたくさんできた。
ただ授業の方は、相変わらず頭に入ってこなかった。
特に英語なんかはお手上げ状態だ。いきなり「ABCD……」なんて言われても、そんなもん習ってないし。英単語とか文法とかの前に、そもそもアルファベットが何なのか理解できなかった。
だから授業中は寝てるか、起きてるときは教室をウロウロ歩き回ってふざけてばかりだった。同じところにじっとしてることが苦手なんだ。
教室は、それなりに盛り上がっていたような気がする。そうやってみんなを笑わせて、人気者になりたかった。
このまま明るい自分を貫けば、楽しい中学校生活が送れる……と、思っていた。
雲行きが怪しくなってきたのは、入学して1カ月くらい経ったときのことだった。
学校から母さん宛に、電話がかかってきた。
「息子さんが授業の邪魔になっています」
「検査を受けさせてください」
「おそらく、何らかの障がいがあるのでは……」